立喰すし魚河岸 山治 黃 冠堯

鮨職人を志し日本へ!
MUGENに出逢って、20代、入社2年弱で夢が叶いました

立喰すし魚河岸 山治

黃 冠堯
(コウ カンギョウ)

1995年、台北生まれ。台湾の調理師専門学校を卒業後、2017年に留学生として来日。
新宿にある日本語学校を卒業後、学校法人食糧学院東京調理製菓専門学校に入学し、日本料理を学ぶ。
2020年、専門学校在学中にMUGENに出逢い、「鮨 つきうだ」のアルバイトスタッフとして勤務する。
2021年7月に正社員として入社後、「鮨 つきうだ」にて経験を積む。
2023年10月、虎ノ門ヒルズステーションタワー内の新店舗「立喰すし魚河岸 山治」に配属となり、鮨職人として本格デビューを果たす。
モットーは「初心忘れない 日本一」

キャリアインタビュー

勉強よりもアルバイトに没頭!台北の飲食店で、日本料理に興味を持つ。

生まれは台湾の台北市です。薬剤師の父、貿易会社の経営者の母のもとで、妹と一緒に育ちました。子どもの頃から勉強が嫌いだった私は、大学進学ではなく、台湾の専門学校に進みました。
当初は看護師コースの専攻を考えていましたが、学力にあまり自信がなかったので、調理師コースを選びました。正直なところ、当時はまだ、さほど料理に興味はなかったのです。入学後は、校舎が家から離れていたこともあり、あまり真面目に通いませんでした。
一方で、多くの時間を飲食店でのアルバイトに費やしていました。私にとっては勉強より、お金を稼ぐほうが大事だったのです(笑)最初に働いたのは、台北にあるイタリアンピザの専門店。その後は鮨や日本料理の高級店で、キッチンスタッフとして働きました。
私が料理の面白さを知ったのは、学校の授業ではなくアルバイトの現場でした。多くの友人はコンビニ等で働いていましたが、私は飲食店のキッチン特有の忙しさが性に合っていたし、気づけば料理が好きになっていました。ときには職場の怖い先輩に呼び出されて、キッチンの隅で詰められる経験もしましたが…(笑)将来は日本に渡って、和食や鮨の職人になりたい…!いつしかそんな夢を抱くようになりました。
しかし、ほとんど学校には行かず、アルバイト三昧に4ヵ月間の兵役…。結果的に、私は2年間も留年してしまいました。

2017年、夢を叶えるために単身で来日!日本語はまったく出来なかった。

専門学校を卒業すると同時に、私は日本へ渡りました。
実は留年中にビザの申請を済ませており、卒業の日を待つだけだったのです(笑)
まずは新宿にある日本語学校で、1年間の語学留学をしました。日本語が話せるようになれば、日本での就職はもちろん、たとえ台湾に帰国した際にも、仕事の選択肢が拡がると考えたのです。過去にも来日経験は一応ありましたが、日本語はまったく話せませんでした。とはいえ日本語には漢字表記が多いので、台湾人には意味を想像しやすい言語です。
留学当初は「これお願いします!」の一言で、なんとか生活していました(笑)
ちなみに多くの台湾人は、アニメから日本語を学んでいます。「NARUTO」や「ONE PIECE」は、台湾でも非常に人気があるんですよ!

専門学生時代にMUGENに出逢い、「鮨 つきうだ」でアルバイトを開始!

日本語学校を卒業後、私は東京調理製菓専門学校で和食を勉強しました。卒業後は日本に残り、鮨職人になりたいと思っていました。
MUGENを知ったのは、在学中に学校主催の内山さんの講演に参加したから。偶然にも、内山さんは私が通っていた専門学校の卒業生だったのです!
当時の私には、日本語の講演内容を正確に理解するのは難しいことでした。しかし、MUGENグループが展開する飲食店のなかに、鮨があることだけは見逃さなかったのです。しかも、私が理想としていた高級感のある鮨業態!「鮨 つきうだ」は、白木のカウンター8席、大将こだわりの握りと和のコースを提供しているお店でした。
さっそく学校の紹介を通じて、私はMUGENの採用面接に申込みました。そして幸運にも、「鮨 つきうだ」のアルバイトスタッフとして、すぐに働ける機会を得たのです。

2020年の冬から翌春(専門学校卒業)までの間、私は週2回のアルバイトスタッフとして、「鮨 つきうだ」の現場に入りました。
まずは洗い場からスタートし、アワビの肝の裏ごしや當り葱(あたりねぎ)など、仕込みの一部を手伝わせていただきました。日本語は下手だし、仕事も遅くて申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、「鮨 つきうだ」のメンバーは、そんな私を優しく迎え、仕事を教えてくれました。

コロナ禍により入社日が延期!正社員として、再び「鮨 つきうだ」に戻れた。

2021年7月、私は念願通りMUGENに入社することができました。
当時はちょうど、コロナ禍の真っただ中…。飲食店に対する政府からの休業要請や時短要請が繰り返され、業界全体の先行きが見えない状態でした。外国人の私は、日本で就職できなければビザが下りず、帰国するしか道はありません。
当時の飲食業界には、コロナ禍の影響で仕事を失った人たちが、世界中に溢れていたはずです。そのような状況下において、私は正社員としてMUGENに入社できたのです。いま考えても、それは実に幸運なことでした。
「鮨 つきうだ」は時短営業や酒類提供禁止の要請には従いつつも、コロナ前と変わらず、多くのお客様で賑わっていました。あのときMUGENに入社できたご縁、コロナ禍においても「鮨 つきうだ」で忙しく過ごすことができた幸運には、今でも心から感謝しています。

毎月の「若手育成デー」でカウンターに立ち、デビューに向けた場数を踏む。

「鮨 つきうだ」では、月に一度のランチタイムに、私のような近い将来デビューを目指す若手が、カウンターに立てる機会を設けてくださっていました。大将の月生田さんが握る鮨と同じものを修業中の私が握る代わりに、お客様には原価で提供するのです。
当日に向け、SNSの発信や集客も自分たちで担います。これにより、若い頃からカウンターに立ち、場数を踏む機会が得られるうえに、自力で集客することの大変さを、身をもって知ることができます。
もしも私が他社に就職していたら、こんなに早くカウンターに立てる日は来なかったことでしょう。多くの若手が鮨を握れるようになるまで、何年もの修行を要することが珍しくない世界なのです。日本語を完璧に話せない私のような外国人にとっては、なおさらハードルは高くなります。
一方のMUGENでは、現状のスキルや経験の有無に関係なく、私のような外国人にもチャンスを平等に与えてくださいました。実際に目の前にお客様を迎え、初めて自分の鮨を握った初日は、あまりの緊張で身震いしました。8名のお客様全員の視線が、私の手元に集中していることが伝わってくるのです…!特に心に残っているのは、私が卒業した東京調理製菓専門学校の先生方が「鮨 つきうだ」にお越しになり、私の鮨を召し上がってくださったこと。母校のご縁で私はMUGENに巡り合い、日本で鮨職人になる夢を叶えることができました。日本語力も、鮨のスキルも未熟ではありますが、感謝の気持ちを込めて握らせていただきました。
さて、月に1度の集客とはいえ、自力で8席分のご予約を埋めるのは、私にとって容易ではありませんでした。大将のご紹介に助けられ、なんとか開催できていたのが正直なところです。通常営業をすれば利益が得られる機会を、私のような若手の育成に割いていただけるのは、「鮨 つきうだ」にお客様が毎日来店され、しっかり売上が立っているからこそ…。毎月の取り組みを通じて、私は改めて有難い環境にいることを理解しました。

入社約2年後、虎ノ門ヒルズの新店でカウンターデビューを果たす!

2023年10月、私はお世話になった「鮨 つきうだ」を卒業し、虎ノ門ヒルズステーションタワー内の新店舗「立喰すし魚河岸 山治」に配属となりました。
MUGEN史上初となる、立喰いすし業態へのチャレンジです。コンセプトは、豊洲の名門仲卸「山治(やまはる)」の名を冠した、目利きのプロと共に創り上げる立喰い鮨店。18代続く豊洲最大の水産仲卸「山治」は、それまでどこにも名前を貸したことはなかったそうです。だからこそ、その名に恥じることのないよう、私たちが付加価値の高い鮨を提供することは絶対なのです!
「立喰すし魚河岸 山治」は、目利きのプロから毎日仕入れた新鮮かつ拘りのネタを、「鮨 つきうだ」の店主・月生田の監修のもと、ひと手間加えた江戸前鮨にてリーズナブルにお愉しみいただけるスタイルです。
立喰カウンターは全12席。現在、私は毎日カウンターに立ち、お客様の目の前で鮨を握らせていただいています。「鮨 つきうだ」とは異なり、お客様がウォークインでご来店される業態なので、仕込みの量も多く、接客や調理において瞬時の対応やチームワークが求められます。
ありがたいことに、オープン当初から高い注目をいただいたおり、多くのお客様で賑わっています。目が回るほどの忙しい毎日ですが、やはり自分の鮨を握れること、お客様と交流できることの楽しさは、私にとって格別なものです。
私は入社後わずか2年弱でカウンターに立ち、新店舗での鮨職人をお任せいただくという、大きなチャンスを手にすることができました。これは「鮨 つきうだ」で修業を積み、「若手育成デー」の取り組みを1年間重ねてきた経験のおかげだと感じています。
まだまだ日本語も拙いし、所作も洗練されていない部分がたくさんあります。夢を叶えられたことに感謝しながら、初心を忘れず精進していきたいと思います!

※MUGENでは、社長は肩書きではなく名前で呼ばれています。

立喰すし魚河岸 山治

住所 〒105-5504
東京都港区虎ノ門2-6-3
虎ノ門ヒルズ ステーションタワー地下2階
電話番号 03-6205-4788
営業時間 ランチ 11:00-14:30(LO 14:00)
ディナー 17:00-23:00(LO 22:00)
※日曜日・祝日は17:00-22:00(LO 21:00)
定休日 月曜日
席数 12席[ カウンター 立席 ]
HP 立喰すし魚河岸 山治

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